まえがき
この記事において「レバレッジ戦略」とはある特定の商品・指数に対して「いつどのくらいのレバレッジをかけるか」を計算・実行する戦略とします。
レバレッジ戦略はいくらでも作り出すことができます。例えば、
- 毎日3倍のレバレッジをかける戦略
- 毎日の期待リターン・リスクからケリー基準によってレバレッジを算出する戦略
- VIXが高いときはレバレッジを下げ、低いときはレバレッジを上げる戦略
- VIXの移動平均を見てレバレッジを決める戦略
- VIXにPCRを乗じてレバレッジを決める戦略
- …
以上は(この記事においては)すべてレバレッジ戦略です。
さて、「分散投資は唯一のフリーランチである」という言葉があります。
いろいろなレバレッジ戦略でバックテストをしてみると、仮に総リターンは同じでも、ある期間はこの戦略がよくて別のある期間はこっちの戦略のほうがいい、ということがあったりします。
なので、分散投資よろしく戦略の分散によってリスクを減らしてシャープレシオを向上させることができるのだろうか、と思いました。
深くは考えていないのでただのアイデアとして見てもらえたらと思います。 また、すでにこういう理論がある場合は教えていただけると嬉しいです。
戦略の分散
戦略の分散方法 = どの戦略をどのくらいの割合で入れるかを決める方法、と言い換えることができそうです。
戦略の割合を決める方法にはいろいろありそうなのでアイデアを書いていきます。
時価総額加重平均
戦略に時価総額というのも変な気はしますが、要はその戦略を実行している資金額・その戦略が稼いだ額によって割合を決める方法です。
調子のいい戦略がその後も伸びていくなら時価総額加重平均がいい気がします。
均等加重平均
全戦略に預ける資金額を同じあるいは一定の割合にしておいて、定期的に戦略間のリバランスを行う方法です。
各戦略の期待リターンが同じくらいの場合はこの方針でリバランスをしてしまうのがいいように思います。
最小分散
いわゆる最小分散ポートフォリオのやつです。全体のボラティリティが最小になるような
オリジナルの最小分散ポートフォリオは「ボラティリティが低いほうが上がりやすい」という特徴を使ってのものだと思いますが、
戦略の場合はボラティリティが低いほうが上がりやすいとは一概に言えないような気がするので、これがいいのかはよくわかりません。
その他
portfolio visualizerに搭載されている方法はだいたい適用できそうな気がしております。
レバレッジ倍率のマージ
各レバレッジ戦略は「今日どのくらいのレバレッジをかけるか」のみが異なるので、 各戦略が計算した「本日のレバレッジ」を何らかの方法でマージしてひとつの戦略にしてしまおうという方法も使えそうです。
でどの戦略をどの割合でマージするかという問題がありますが、これは戦略の分散のところに書いた方法で割合を決めることができそうです。
例えば、均等加重平均であれば、
戦略Aと戦略BがあってAは「今日5倍のレバレッジをかけろ」、Bは「今日は一切ポジションを持つな(0倍のレバレッジをかけろ)」と言っていたとき、
(5 + 0) / 2 = 2.5
倍のレバレッジをかける、と計算できそうです。
時価総額加重平均であれば、
同じく戦略Aと戦略BがあってAは「今日5倍のレバレッジをかけろ」、Bは「今日は一切ポジションを持つな(0倍のレバレッジをかけろ)」と言っていて、
戦略Aは戦略Bの2倍のリターンを叩き出しているのであれば、(5 * 2 + 0 * 1) / (2 + 1) = 3.333
倍のレバレッジをかける、と計算できます。
このように、各戦略が算出したレバレッジ倍率を割合を決めて取ることでひとつの戦略としてレバレッジを計算します。
もしかしたら結果的には戦略の分散と同じ意味になるのかもしれませんが深く考えていません。
戦略毎に分けると把握が面倒なのでこちらのほうが簡単に運用できそうではあります。
おわりに
分散させるとなんとなく安定しそうとは思いつつどの本当に安定するのか、そしてどの方法がいいかはわからないのでバックテストをしてみたいです。 雑にTradingViewで均等加重平均レバレッジにしてみたところ安定していそうな感じはしました。
また、だんだんと道具が揃ってきた感があります。
- レバレッジの計算方法
- 分散の方法
- 各戦略をどう割り振るか
- ライフプランに合わせた最適な入出金方法
- いつどのくらいの額をリスクに晒すか、戻すか
まだまだ考えきれていないものもあります(特に入金最適化)が、この3段階の組み合わせで自分はやっていきたいと思っています。